答え

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答え

 なんで今になって思い出したのか。そう問いかけると、透は困ったように笑った。 「今だったら使ってたかなって思って」  彼女はここしばらく苦労続きだった。だから、過去を変えられたらと思ったのだろうか。 「使わないでよ」  だけど私は言い返した。目を丸くした彼女に向けて、言葉を選びながら再度口を開く。 「透は最近大変そうだったけどさ、その間にも色々遊んだじゃん。一緒にいたじゃん。それも無かったことにするのはイヤだよ」  子どものような理屈。だけど彼女は、腑に落ちた時の顔をした。 「そだね。……そう考えると私もやだわー」  私の肩に、透はこてんと頭を預ける。それに触れるわけでもなく、私は読んでいた本に視線を戻した。
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