こわいはなし創作

電話相談

私って、すごいくすぐったがりじゃん？

え？いや、結構何回も言ってるって。
てか知ってるでしょ！
…いつもくすぐったいって言うし。うーん。
じゃあ初めて言ったことにしといてあげる。
分かった分かった。ちゃんと覚えててよ？

そうそう、それでさ。

保育園の時とか小学生の時とかって、
急に友達がくすぐってくることあるじゃん？
こちょこちょってやつ。
あれ地獄だったんだよね。
私以外にもこちょこちょ弱い子いたんだけど、私ほどの子はいなかったからさ。

家で悪さしたときの罰ゲームみたいなのも
こちょこちょだったんだけど、
それもしんどかったなぁ。
パパもママも私がくすぐったがりなの知ってて、5分とか決まり作っちゃうしさぁ。

んー…まぁね。いたずらっ子だったのよ。
ふふっそうなの。

いっつも爆笑しちゃうから慣れようと思って自分で膝とかくすぐってみても超くすぐったいし。

え？
自分でくすぐってもくすぐったいでしょ、
私だけ？！
うーん…そうなのかなぁ。
まぁいっか。

あぁ、あとあれ！あれもくすぐったかった。
レントゲンとか内科検診で医者に背中向けるとき。

何ていうの？もうこのレベルまでくると視線自体がくすぐったいんだよねぇ。
聴診器当てられてくすぐったいってのも勿論なんだけど、"見られてる"ってだけでくすぐったいっていうか。

ん？今も今も。
病院は最近行かないからあれだけど、髪とか切りに行くとき、すぐ後ろで美容師さんが何かいろいろやるじゃん？
鏡越しで向こうが見えててもくすぐったいんだよねー。

そうそうゾゾゾーッ！てなる。
…もー。うるさい！！

ん？
…あぁ、、、

実はね。

そう。ちょっと困ったことになって。
相談のって欲しいっていうか、助けて欲しいっていうか…。うん。ありがとう。

うん、今日はアパート。実家じゃないよ。
今部屋に一人。

でさ、あのね、今ベッドにうつ伏せで通話してるのね、そうそう。なんだけどさ、

すっごいくすぐったいんだよね、背中。

ねぇ、振り向いても大丈夫だと思う…？

あ、

ツー、ツー、ツー、…………

【完】