右ストレートの遺伝子

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☆彡  が始まったきっかけはほんの些細な出来事だったと思う。みんなの前で先生が私を褒めた、とか、私が他の子よりもほんの少しスタイルが良かった、とか。あるいは、そもそも理由なんて全くなかったのかもしれない。女子校という閉鎖された空間で、皆が閉塞感を感じていて、それが歪な形でスケープゴートとしての私に襲い掛かっただけだったのかもしれない。   いずれにせよ、気づいた時には私はクラスの悪意の標的になっていた。私にとって不運なことに、クラスの担任は定年間近の無気力な男性教師だった。(くら)という名前をもじって陰で「ぼんくら」と呼ばれていたその教師は事なかれ主義の権化のような人物で、つまるところ私にとっての中学校生活は突然(はり)(むしろ)と化したのだ。  最初の頃はそれでも、お弁当を一緒に食べる相手がいない、とか、体育の時にグループが作れなくて困る、とか、その程度のことだった。でも、相手にするまいとする私の態度が火に油を注いだのか、悪意はあれよあれよとエスカレートしていった。最近では、上履きに画びょうを入れられたり、体操服をごみ箱に捨てられたり、教科書を破かれたり、するようになった。
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