ずっと探していた答え

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天国はあると確信したお話。 小学校一年生の時に 祖母が二人とも亡くなってしまいました。 大人になった今 世の中にはそれ以上に悲しい想いを している人は沢山いるし、 人と比べて それが特別辛い体験だとは思わないけど 家族が大好きだった 子供の私にはとても悲しい出来事で どうしても、天国があるのか 知りたいと思いました。 空の星になったんだよ。 と言われたけど、納得いかない。 空の星… 眺めたけど、なんか、違う。 もっとしっかりした答えが欲しい。 大人から絶対にあると言って貰いたい。 そうじゃないと寂しい。 せっかく家族に生まれたのに。 家族は何よりも大切な存在なのに。 死んでしまったら 消えてなくなるんて… なんて残酷なんだろう。 あるかもしれないじゃなく、 あると言ってほしい。 そんな事を考えていた一年生の頃 びっくりするくらい 頭の良い男の子が同級生にいました。 何を質問しても答えられる男の子。 お父さんが高校の先生で 沢山の本を読んでいたからか 大人になった私が振り返っても、 特別に頭の良い子。 私は、その子に聞きました。 「天国ってあると思う?」 その子は 「帰って来た人がいないからわからない」 と言いました。 そうだよね! 生きている人たちにはわからないよね。 いろんな人に聞いてみたけど その言葉に納得した私は答えを探すのをやめた。 祖母がいなくなって ひとりぼっちになった祖父。 でも相変わらずのびのびと 幸せそうに過ごしていました。 よくお昼寝してよくお散歩をして いつも一緒に遊んでくれる友達みたいな祖父。 私が絵を書いたら絶対捨てなくて すごい!上手い!才能がある!と 百枚くらい全部取っている祖父(笑) 私は特別に人より絵が 上手い訳では無いと思うけど 祖父が心から喜んでくれているのが 伝わってきたので、 祖父の家に行くと必ず絵を書いていました。 祖父は百歳まで生きたい と言っていて 祖父のお父さんも百歳まで生きたので なんとなくそのくらい生きるんだろうな〜 と思っていました。 そんな祖父にも終わりの日が 思っていたより早く来た。 祖父は長生きした方だと思うけど 亡くなったのは転んでしまって そこから少しずつ 弱っていったという事が原因だったので 『あの日転ばなかったら もっと長生きできたのかなあ…』 と悔しい気持ちになりました。 長く入院していると 記憶もよくわからなくなって ほとんどの事を忘れてしまったのに 私の名前は最後まで覚えていてくれて 「最近もう何もわからないんだけど あきの名前だけは忘れられないんだよ」 と言っていました。 祖父が亡くなった日。 魂が無くなった人の身体ってびっくりするくらい 急に『物』に変わる。 まるで人形が置いてあるみたいだと思いました。 それを見て 最後まで私の事を忘れずに 愛してくれた祖父はもうどこにもいないんだ と思った。 私はその頃恥ずかり屋な方で 感情を出すのが苦手だったけど、 溢れてくる悲しみが大きくて わああー!と声をあげて泣きました。 声をあげて泣くというのは 小さな子供の頃以来でした。 やっぱりこの世界で一番悲しいのって 家族が亡くなる事だと改めて思った。 どれだけ泣いても悲しんでも もう二度と会えないこの世界って 残酷だと思いました。 だけど不思議な出来事がありました。 祖父の部屋へ行き 亡くなる数日前に止まった時計を改めて見ると 時計の針が指していたのは祖父が天国へ行った時刻。 それを見た時に温かい気持ちになりました。 なぜ、温かくなったか 寿命は決まっていると 教えてもらっている気持ちになったからです。 『有限の時の中を遊びなさい、楽しみなさい』と言われている気がしました。 もう一つ。ずっと知りたかった事。 『天国はあるよ!』と 教えて貰った気がしました。   人一倍怖がりの私が怖く感じなかったのは   祖父からの 愛のあるメッセージだからだと思います。 後日お坊さんが 祖父につけて下さった戒名を見て驚きました。 『遊』という字が入っていました。 戒名に遊(ぶ)なんて文字 今まで見た事がありませんでした。 なんて、祖父らしいんだろうと 祖父が居なくなってぽっかり穴があいた心に 何だか少し光が差すような感覚。 祖父の事をよく知る とっても愛のある素敵なお坊さんなのですが 真面目そうな方で この字を選ぶなんて想像がつきませんでした。 もしかしたら ふっと降りて来たのかもしれないです。 そっか、この素敵な名前で始まるんだ また天国に祖父が生まれたみたい。 いろんな事があり、 なんだかひとりぼっちになるような気がした時 それは錯覚なんだと思った。 空を見上げた時 なんだかぱっと心が前向きになるのは がんばれ!と、みんなが言っている事 本当は私たちはわかっているのかもしれない。 祖父はきっと絶対居る。 きっと天国でまた遊んでいる。 私はここでしか出来ない遊び方で まだまだ楽しみたいと思います。
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