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「───なるほど、それで私に。やはり人類最強だったお人です、ユラシル様」
「よせやい照れるだろぉ?あと様付けはマジでやめてくれ、背中が痒くなる」
「そうはいきません、仕えると誓った以上敬意を払うのは当然なのですから」
「頭が固いなぁお前は…」
夜が更けるエマリエーカ王国、その中にある一つの廃屋の中で五人の怪物たちは話し合っていた。
「『五忘聖』か、話は聞いたことがある。なかなかの外道が集まった団体と」
壁に背をつけて立つ髪も衣服も黒一色で腰に差している刀すらも黒の男、セイン・クラックバーンは部屋を照らすロウソクの灯りを見つめながら言った。
「どうやら近々行動に移すとの情報があったらしいです、国王たちが直々にユラシルくんに協力を要請してきた辺り、かなり危険な状況のようです」
灯りに照らされ美しく煌めく赤い髪の女、アリッシュ・メイジスタはコップに注いだ水を飲む。
「あむっ、あむあむっ、ん~…!おいしい!」
真剣な話の最中でありながら菓子パンを貪る空色の髪の女、マリーラに対して誰も触れない。
「読み通り、私は奴らと接触したことがあります。居場所も大体は見当が付きます」
登頂部付近だけが黒で他が白い独特な髪色をした男、リュード・イブカスターは直立したまま口を開く。
彼らを纏めて指す言葉『未踏の開拓団』。世界を滅ぼすとされた『終局』打倒を掲げて集った紛れもない猛者たちの中心にいる黒髪の少年こそが『未踏の開拓団』のリーダー。
「面倒事はさっさと終わらせちまうに限るからな、お前が知っててくれて一安心だ」
千年先の未来から来た最強、ユラシル・リーバックは椅子を揺らしながらのんきな口調で言った。
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