第7話 次世代の人間になりうる生物

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剣の刃が三又に絡め取られ、束の間動きが止まったユラシルの首へ鋭い肘の一撃を叩き込む。その場で空中を縦に回転させられたユラシルは表情を歪め、さらに歪める縦拳が顔面ど真ん中を打ち抜いた。 威力は変わっていないが明らかに動作速度が上がっている。おまけに無駄な動きばかりだったのにそれも無くなった。自分より速いユラシルを殺すために必要な物を抽出し動きに反映させた結果、一切の無駄を消し速度上昇の肉体に進化した。 次世代の人間になる、そんなことを宣っていただけの高次元な適応能力。さすがのユラシルも舌を巻くしかなかった。 だが、そんな物に負けるわけにはいかない。ユラシルは鋭く息を吐き、剣を大きく後ろに振りかぶってから一拍空けてから駆け出す。 (頼むぜェッ…!!) 純白の閃光となって走り抜けるユラシルをシーテは真っ向から迎える。ユラシルの全力の一振りに完璧に合わせた矛と激突する。 「フッッ!!」 「ぐぉッ!!?」 激突の瞬間力の流れを強引にねじ曲げられてしまい、ユラシルの右手から剣が弾け飛んだ。武器を失い完全な無防備に晒されたユラシルの顔面を、今度は矛で貫きにかかる。 (キミの速さにはもう対応出来る。そしてキミならば必ずかわしてみせるだろう、その瞬間を狙う!私の本命はそこだ!!) 読み通りユラシルは体を倒すようにして矛による突きを回避。しかし矛と剣の決定的なリーチの差があるためユラシルの手足じゃシーテには届かない。例え『ワールド』を使った攻撃だとしても耐えれば片付く。 シーテが真上からユラシルを両断するべく矛を振り下ろす。これの回避は間に合わないだろう、ならば『ワールド』で防ぐか攻撃するかのどちらか。どちらであろうがシーテは力ずくで打ち負かす自信があった。 「───かかったな?」 言って。 ずっと背に隠していた左腕をシーテへ伸ばす。 その手に握られているのは───ネイフィーの銃だった。
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