第7話 次世代の人間になりうる生物

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「ッッ──!!?」 ズドォンッッッ!!!!と、放たれたユラシルの渾身を注いで形成した弾丸がシーテの胸元に着弾。凝縮された破壊の一発をまともに受け、シーテの体が壁まで吹き飛ばされていく。 (いッッ……いつの間に!!?) シーテの意識はユラシルにのみ向けられていた。ネイフィーは完全にノーマーク、一切警戒していなかった。ネイフィーが何をしようがなんの支障も無いと思い込んでいたことにより生まれた油断。 「がッッ……こ、のォ…!小賢しい真似をォオオオオッッ!!!」 壁を背に吠え、矛を両手で持って駆けてくるユラシルを貫くために全力の『ワールド』を矛に集束。【極致開闢】維持の『ワールド』を注いだことにより生身に戻っているユラシルめがけ最速最強の一撃を繰り出し、小さな胴体に風穴を空ける───前に、ズパンッッ!!と、シーテの両腕が肘の辺りから切断された。 「この期に及んでまだ私様を無視とは愚かね」 ネイフィーが、ユラシルが落とした剣で切り落としたのだ。 「ッッ人間風情がァアアアア!!!」 激情任せの咆哮。 正面に立つネイフィーを血走った目で睨み、開いた口の中に『ワールド』を一点集中させるシーテ。 だが、ゾッッと背筋を凍り付かせる悪寒を感じた。それはネイフィーの後ろから駆けてくるユラシルが発した『威嚇』である。 (ここぞって時に冷静さってのは必要なんだよ、俺はそれをこいつから学んだぜ、シーテ) シーテの狙いが一瞬ブレる。その一瞬が勝敗を分けることだってあることをシーテは知らない。 でも、知ることになる。 (まだネイフィーを意識していなかった───それがお前の敗因だよ) (最初から私様たちは二人で戦っていた───そのことを忘れていたあなたのミスよ) ネイフィーの背後から寄り添うように密着したユラシルは左手に持つ銃をネイフィーの左手に握らせ、ネイフィーが右手に持つ剣をユラシルの右手に落とす。 束の間のトレード。振りかぶった際に行ったユラシルの指示をネイフィーは見逃しておらず、こうなることまで見えていた。
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