第8話 動き出す次世代の頂点たち

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生物の劇的な進化、きっかけともなるのは根底にある環境への適応だ。 水の中でしか生きられない生物が陸地でも活動が可能になる、逆もまたしかり。 陸で這うことしか出来ない生物が空を飛ぶことを可能にする。草木しか食べない生物が肉を食らう。歩くために足が発達し二足歩行を物にする。成長と繁殖のみしか組み込まれていない生物が思考と行動力を手に入れる。 それらは全て、例外無く新たな環境への適応を望むことで起きる生命の奇跡。それが進化というものだ。 海の中でしか生きられない『シーヒューマン』が海面に顔を出し、外気に触れても支障が無いのも進化の結果生まれた未知の可能性である。 「ンなこたわかってんだよ半魚人。つか聞いてねーよそんなこと」 ユラシル・リーバックがばっさり切り捨てた。 仰向けに転がるシーテはやれやれとため息をつく。彼の首筋にはユラシルが剣先を、眉間にはネイフィーが銃口を突き付けている。動けないだろう、だが動くかもしれない。だからこその抑止。 「次世代の人間とは何か……キミが聞きたいのはこれか?それとも最初に言っていたことか?」 「次世代の人間ってのはついでで聞いときたいだけだ。本題は最初、なんでお前は人間がそう遠くない未来に滅びることを知ってるのかだ」 「我々が滅ぼすからだ。そう言ったじゃないか」 「それはまだ未確定だろ」 「………」 「惚けんなよ魚マン。お前はどこで人間が滅びるっつー確定した未来を知ったんだ、俺が一番聞きたいのはそれだけだ。くだらねえこと喋るなら刺すぞ」 剣先がシーテの首筋に触れる。有言実行などユラシルには容易いわけで、生物として死は免れたい本能からシーテはしばし黙って、 「遠くない未来……それは我々からすればの話だ。キミたち人間からすれば途方も無い先の話、少なくとも今生きているキミたちには無縁の話だが、それでも聞くか?」 「次、また質問を返してきたら殺す」 「やれやれ、せっかく学んだコミュニケーションが無駄だなこれでは」
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