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シーテはため息をつく。
そして、話し出す。
「キミたち人間の一定期間は年という言葉にして表すのだったな。ならその未来は千年後のことだ」
「やっぱりか」
予想外の言葉にシーテだけでなくネイフィーも眉を寄せる。
「千年後に人間が滅びるのは知ってる。それを知った理由も大体見当がつく。───お前にその未来を教えたのは、『終局』か?」
今度は目を見開いた二人。ユラシルは気にしないままシーテを睨み付けながら、
「どうもあいつの意思は世界中に散らばってるらしい。意思の破片っつーのかね、お前はその破片にでも触れて知ったんじゃないのか?」
「………何故、その存在を知っている…?あれは自然の……いや、世界の形とも呼ばれる存在だ。それなのに、何故キミは───ゲガッッ!!?」
質問を返したシーテの首を剣が貫いた。だが気道は傷付けておらず、まだ話すことを許すユラシル。
「何度も言わすなよ。悪いが俺は『終局』絡みの話になったら躊躇しなくなる。次はこのまま首をぶった切る、二度と無駄口叩くな」
「ごッッ……そ、そうだ…私は、『終局』様の意思の破片に触れて知った…『終局』様が人間を、世界を滅ぼすのが千年後だということを…」
様付けにビキリと額に血管が浮かぶユラシルだったが、そんな些細なことで殺すのは悪手だと判断し自分を抑え込む。
「お前が劇的に進化して人間に近づいたのも破片の影響か?」
「…ああ、私一人が触れ、この姿と力を手に入れた……我々『シーヒューマン』は元々から知能が高い生物だったが、私がこうなったおかげでさらに高まることになった…今では慣れさえすれば日光にも耐性がつくほどに、他の者たちも進化させた…」
目を細めるユラシル。
(世界中にいる生物から漏れた力の集合体の『影獣』も『終局』の破壊衝動を宿して存在してる……個体から漏れた微弱な力を形にし、他の生命体を殺し回るような力の化身を作っちまうんだ、生物の進化を促すくらいの副次的影響力があっても不思議じゃない。あいつはそれだけの力を持ってる)
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