第8話 動き出す次世代の頂点たち

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世界に満ちる自然の力『ワールド』、その結晶体であり、世界を壊すことさえ出来る『終局』。まさかこんな形でも破格の力を振り撒いているなんて知らなかったユラシルは、ふと疑問が頭に浮かんだ。 「『終局』の破片に触れて千年後に人間が滅びることを知ってるってのは、どんな風に知ったんだ?そんな未来のことを『終局』が知ってたのか、千年後に滅ぼすっつー意思から知ったのか、それとも他の理由があるのか?」 「……その点に関しては、私もわからないというのが正直なところだ。何故千年後なのか、私はこの姿になった時には知っていた……『終局』様の意思による物なのかは今もわからない」 (……『終局』が千年後に滅ぼす気だってんなら、仮にそうだとしたら『終局』が目覚めたことに俺は関係無いのか…?だとしてもなんで千年後なんだ?千年後じゃなきゃダメな理由がある?考えられる理由は……………まさか) 偶然じゃないとしたら。 元々がそういう仕組みだと仮定するなら。 「───俺がグラシエラ大陸に来ることを、あいつは予め知っていたってのか…?」 ユラシルが偶然起こしたんじゃなく、ユラシルが来たから起きた。ユラシルが来ることをきっかけに、その時をずっと待っていた……そういう考え方も出来なくはない。 最果ての未開拓地、グラシエラ大陸。 開拓者ユラシルが最後に踏み入った未知の場所。つまりユラシルが来るまで人間は誰一人そこに辿り着けていないわけで、それが今から千年後の時代で、『終局』はその時目を覚まして世界を滅ぼす。 偶然にしては奇妙な重なりが多すぎる。踏み入ったユラシルが原因では無いとすれば、『終局』は千年もの間ユラシルが来ることをわかっていて待っていたことになる。 導き出される仮説。それは───『終局』が未来を知っていた。 あり得るのか?自然の力の集合体だからって先の未来を知ることなんて可能なのか?いくら『終局』だからって、そんなブッ飛んだ能力を持っているのか?
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