94人が本棚に入れています
本棚に追加
仰向けに寝そべるシーテはユラシルたちを見送り、見えなくなってから息をついて天井を見上げる。
それから、こう言葉にした。
「人間がこれほどまでに脅威になるとはな……次世代の人間になるのは、かなり骨が折れる野望のようだ………フフ」
笑う。世界の広さを思い知って。
燃える。険しい現状の打破を目指して。
「"次世代の人間は何も私だけではない"。だが必ず私が最上位につく、私こそが世界の王になる。なってみせる」
ギャバアアアアアアアッッッ!!!!と。
寝そべるシーテが、飛来した破壊を宿す弾丸によって粉々に粉砕した。
「───おあいにく様、私様の耳は特別仕様なのよ間抜け」
「怖え怖え、迂闊に陰口叩けねえなこりゃ」
「ふんっ。さっさと帰るわよユラシル、運びなさい」
「あっ、命令しやがったなお前。約束破ったから置いてく」
「嘘嘘嘘!!冗談よ冗談だから!今ので『ワールド』使い切ったから!お願いします連れてってくださいー!!」
「はぁ!?ちょっ、待て待て!お前使い切ったのか!?俺ももう残ってねえんだぞ!!」
「なんですって!?あなたのことだから脱出用に残してると思ったのに!どうするのよ帰れないじゃない!!」
「ウガ~~ッ!まァた壁から『ワールド』奪わなきゃなんねーじゃねえかよ!クッソ時間かかるってのにーっ!!」
聞きたいことも聞けた。もうここに用は無い二人はしかし帰れない。
よって、ユラシルが『ワールド』を強奪。その間ネイフィーが這いずりながら襲いかかってくる大量の『シーヒューマン』の幼体たちを迎撃。
まさかまさかの不必要な大ピンチに見舞われてしまう二人が脱出するのは、それからしばらく経ってのことだった───。
☆
最初のコメントを投稿しよう!