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「いやーしかし、すごく似ていたね。言動も雰囲気も」
「そうですね、確かに似てました」
「顔はよく見えなかったし声も聞いたことないモンだった。にしても似すぎな気もしたぜ俺は」
「アハハ、まるでユラシルさんを大人にしたような人だったっすからね。やっぱりみんな同じ感想持ってたんすね」
まだ恐怖から立ち直れてないサラがメイリーから離れ、しっかり自分の足で立ちながら見えもしない海の底を見つめた。
「………あたしたちは生きるだけで精一杯だった……でもあの人はあんな状況なのにすごく落ち着いてて、メチャクチャな強さがあるからこそなのかもしれないけど……ユラシルは、どうだったのかしらね」
「あの野郎のことだから高笑いでもしながら走り回ってたんじゃねえか?」
「想像出来てしまうね、『海の底にこんな場所があったのか~!』なんて言いながらキラキラした目で」
「あり得るわね…」
「ユラシルくんだもんね…」
「でも、それだけの差があるってことっすよ」
言ったシェリムに視線が集まる。
「強さもそうっすけど、それ以上に人間として違いすぎる……どんな環境でも自分を見失わない精神的強さ、パニックになってた僕からしたら途方もない差があるんだなぁって思ったっす」
「きっと、ここにいる五人みんな同じ気持ちだよシェリムくん」
「レビック先輩…」
「けど、悪いけど僕はその途方もない差に打ちひしがれる気はないよ。僕は決めたんだ、ユラシルくんに追い付くために強くなるって。どれだけの差があっても関係無い、寧ろ嬉しいよ」
「う、嬉しい?」
「差を埋めて追い付いた時、僕がいつか目標に辿り着いた時はあんな信じられない強さを手にした自分がいるんだ。何年かかってもいい、絶対辿り着く。きっとそこに、僕の目指した理想の騎士がいるんだから」
「同感だな」
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