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ネイフィーの言葉にまた涙が込み上げてくる者もちらほら。悲しみはみんな同じでネイフィーだって当然悲しい。でも、それでもネイフィーはサレフィナル遊動国国王として声を張って宣言した。
「亡くなった者たちを決して忘れることなく、この場からサレフィナルは復活を目指す!!不安は全てこの私様が振り払う!再建に向けて進む者は私様を信じて付いてきなさい!!」
『おおおおおお!!!』
国王としての先導力、確固たる信頼。危険に満ちる未開拓地を渡り歩いていたサレフィナル遊動国の長としての威厳が本物なのを目撃し、ユラシルはフッと笑みを零す。
きっとネイフィーならばそう遠くないうちに国を建て直すことだろう。口にはせず、心の中で静かに願うのだった。
☆
「俺たちはスリアルス島の探索を続ける。お前はどうすんだ?」
「まずは船を確保するのが先決。だから造船をやってるブリスアイア海上国に向かうわ」
「そこまでどうやって行く気だ?」
「『ワールド』を使って船を作るわ。万全な私様の『ワールド』ならこの人数を乗せるだけの船は簡単に作れるし、休み休み向かうとするわ」
ユラシルとネイフィーは二人で離れて会話を聞かれない位置に移動していた。共に海を眺めながら並ぶ二人は潮風に髪を靡かせる。
「ならここでお別れだな。もう無闇やたらに未開拓地や他の土地荒らしたりすんなよ」
「生きるためなら仕方ないでしょ」
「無闇やたらにっつっただろ」
「だから、生きるための最小限にすると言ったのよ」
「おん?」
「人間だけが特別じゃない…世界は共存で成り立っている、それはあなたが教えたことでしょう?」
「ハハッ、よろしい。考え改めたんなら文句は無えよ」
「………ユラシル」
「なんだぁ?」
「あなたは、本気で『終局』を倒す気なの?」
ネイフィーの質問にユラシルの目が細くなる。
「ああ、俺がこの時代に来たのはそれが目的だからな」
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