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「三人目、ブランタ・ヒーブ」
「っ、……ほう?」
「───無闇な殺しは決してあってはなりません、人を殺めるにはそれ相応の理由がいります。意味なき殺しは生命への冒涜ですから」
灰色の髪を後ろで束ねた細身の男は丹念にナイフを研ぎながら傍らに集まる部下たちに教えを説く。
「───奴は元殺し屋です。元というのは雇い主を殺してしまったが故に廃業に至ったと聞いています。『黒殺の死神』並みの正確な腕前で失敗は一度も無い男です」
「ほえーっ、『黒殺の死神』は失敗したことあるのにスゲーなそいつ」
「貴様のせいだぞこの野郎」
「続いて四人目、ノーエル・アンスラータ───」
「───とりあえず国王だね、うん。国王殺せば国なんて滅んだも同然だからね、うん」
ボロボロの古びた鎧を愛用して寝る時でも着ている坊主頭の男は血に濡れた剣を光の無い目で見つめて一人言を吐き続ける。
「───元テイミスク連合国の騎士であり『錬巧の騎士』にも選ばれた男です。ですが騎士でありながら主である国王を手にかけた腐れ外道……騎士が主に刃を向けるなどあってはならないことッ…!!」
「騎士の信念無くしたとか言っといてちゃんと持ってんじゃん。筋金入りだな」
「んんんッ…!!」
「怖っ、自分の足に怒りぶつけ始めたぞ。こいつ意外と変人だわ」
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