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この廃屋は二階建てで広さも部屋の数も十分あり、一人一部屋は確保出来る。だが問題は、
「俺とマリーラ、リュードの部屋は先ほど掃除を終わらせてあるが使っていない部屋は手付かずだぞ」
「マジかよー、埃臭いとこでは寝たくねーし、アリッシュはマリーラの部屋で寝ろよ。俺はセインちゃんの部屋で一緒に寝るからっ」
「切り殺すぞ」
「セイン、ユラシル様を殺すとはなんだ。我々の主だぞ」
「リーダーではあるが主ではない」
「それは間違ってないな」
「ユラシル様…」
「………一晩我慢しよう」
「一緒のお布団だよね?」
「やはり切り殺す」
そんなわけで睡眠をとるため解散になり一晩を過ごす部屋へ向かう五人。ユラシルはセインの部屋に入り、ボロボロの柔らかい長椅子に飛び乗る。
「疲れた~…今日はぐっすり爆睡出来そうだぜぇ」
「そこでいいのか?」
「何?添い寝する?」
「床で寝てろクソガキ」
悪態に加えての踵落としに呻き声を上げたユラシルを無視して刀をテーブルに置いてベッドに横になるセイン。ユラシルはしばし天井を見上げたまま黙り込んで、不意に口を開いた。
「よし、恋バナすっか」
「……こい…何?」
「恋バナだよ、恋の話。お泊まり会の定番行事だぞ知らないのか?」
「………貴様、さっきから何か誘っていないか?」
「ツッコミ」
「永眠したいなら素直にそう言え」
「わかったわかった、悪ふざけしすぎたよ」
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