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ため息をついてユラシルに背を向けるセイン。そんな後ろ姿を横目で見てユラシルも小さく吐息を零す。
「───いつから影獣の力なんて持ってたんだ?」
「っ………やはりお前は気づいていたか」
「ついこの前だ、デッカーズ半島の探索に行った時に俺も影獣と出会してな。この時代に来て初めてだったけど、そこで気色悪い体験をしたから気づけたんだよ」
「何を体験したんだ?」
「影獣の力が体の中に流れ込んできたんだ」
「っ…!?」
ついつい上体を起こしてユラシルに向くセインをユラシルは見ない。天井を見つめたまま話を続ける。
「死んだ影獣は気化した『パーソナル』になって消えるはずだ。なのにその時は俺の中に入って来やがった。あんなのは初めてだよ」
「……つまりお前は影獣を殺したということか?」
「ああ。影獣は純粋な破壊意思のみで動く力の化身、"あのクソ"を見てる俺だから気づけたんだろうな───影獣の破壊意思が『終局』から零れた破片だってことに」
「………『終局』は『ワールド』の集合体と聞く、確かに力の化身という点では似通っているが、何故断言出来る?」
「気配っつーか匂いっつーか、曖昧だけどはっきりわかったんだよ。影獣は過去に出会したことあるけどその時は何も思わなかった、でもこの前は違う、俺が戦ってる最中に『終局』に触れてるからわかったんだろうぜ」
「……お前だけが察知出来たのなら、確かに曖昧な物だな」
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