7.後悔してくれたら

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7.後悔してくれたら

 失恋した次の日、私は学校を休んだ。今日も行きたくなくてベッドの上から起き上がらずにいたら、お父さんが「二日連続で休むと却ってきつくなるぞ! 今日は頑張って行け!!」とドア越しに言ってきた。  お父さんとお母さんは私の将来を心配している。違う。今の私を心配して欲しい。台所から包丁を取り出して手首に当てて結局恐ろしくなって泣く泣く仕舞ってを毎晩繰り返してる私を。首を吊る場所を探しながら家の中をふらふらと歩いている私を。死にたいのに死ねない、無様でどうしようもないこの私を。心配して欲しい。ほら。早く気づいて……。何も気づいてないくせに。病気になった私の気持ちなんて理解しようともしていないくせに。お父さんとお母さんは自分の(にお)いなんて気にせずに普通に生活できてるくせに。  お母さんは『そんな病気初めて聞いたしなったことないからどうしたらいいか分かんない! あんたはお母さんにどうしろって言うのッ!?』ってヒステリックに怒鳴る。ねえ。突然変な病気になってどうしたらいいのか一番分かんないのは私だよ。そんなの言い訳だ。私から逃げてるだけだ。両親から逃げられてる私も、学校や人間から逃げてるから人のこと言えないかもだけど。  両親が私にかける言葉は決まって『学校に行け!』・『せめて高校は卒業しろ!』・『中卒はダメだ!』・『みんな(つら)くても頑張ってるんだよ!』で温かい言葉なんてひとつももらっていない。嘘でもいいから言って欲しかったな、お父さんとお母さんは鈴凰の味方だからねって。  私のために動くのが面倒くさいから自分たちの力だけじゃ解決できそうにないから諦めて放置してるだけなんだよね? ねえ、そうでしょ? 私が死んだら少しは後悔してくれるだろうか。後悔して欲しい。もっと娘に寄り添ってあげればよかったって。両親が後悔してくれたら……私は嬉しい。
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