誕生日

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 ジロリと睨み付けるも、忠司は何も言ってこない。女の方は顔を見られたくないのか、背中を向けて丸くなっている。 「……正直に答えて。いつから?」 「それは……一年前とか?」  一年前?一年も前から忠司は私とこの女と二股してたの?全然気づかなかった。そうか、気づかなかった私も悪いのかな。  呆然と立ち尽くしていると、忠司が突然頭を下げた。 「波瑠……ごめん。別れて欲しい!!」 「……え?」 「もう好きじゃないんだ、お前のこと……。一緒に居ても楽しくないし、コイツと結婚したいと思ってる」  何言ってるの……?結婚は私とするんでしょ?だって先週指輪だって見に行ったじゃない。あれは何だったの? 「……今日が何の日か、覚えてないよね?」 「え?」 「覚えてたら……わざわざ今日フルなんてことしないもんね……。馬鹿……二人とも地獄に堕ちろ!!」  持っていた袋を思いっきり忠司に投げつけると、ふらつく足で部屋を出た。玄関で上手くパンプスが履けなくて、階段で転びそうになった。
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