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喋りながらクローゼットを漁って、下着と新しいスウェットを出す。何だ、一着しかスペアないのか。着替えてもらったらすぐ洗わないと。明日店が開いたら、もう一着調達しとこう。ユニクロかしまむら、近所にあるかな。
考えてると、体温計がピピっと鳴った。
「はい、見せて下さい」
手を出すと、正人さんは体温計を抜いて俺に渡す。自分で見ないのかよ。
何度かな……。
……38度ジャスト。
……確かにね、怠くなる数字だね。でも、そんな死にそうな顔しなくていいんじゃないかな。
「……喉が痛い他には何かありますか。腹が痛いとか、頭が痛いとか、関節が痛いとか」
「いや」
「吐き気とか」
「それは……大丈夫だ」
何と見事に純粋な喉風邪。っていうか、喉風邪ならもっと熱上がっても不思議じゃないのに、ほんと丈夫な人だな。
こりゃ、薬飲んで寝たら、明日には回復してるぞ。ユニクロはやめだな。
「……でも、ものすごく怠いんだ」
でしょうね! 慣れてないですもんね。
っていうか、喋れてるし。喉の痛みも大したことないだろ。
眉が下がってるし、大きな目が不安そうに俺を見てる。これは正に大型犬の子犬。
ラブラドール……みたいな可愛いのじゃないな。ハスキーだ。
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