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こんなこともあった。
「今日のテレビの映画、何かな。えーと9時からは…『メーメン』。これどんな映画?」
「めえめん?そんな映画あったかな…あ、『オーメン』か『メメント』じゃないか?見してみ?」
手渡された新聞のテレビ欄には、『Xーメン』のタイトルがあった。
いやこれメーメンってあんた…羊の化身でメーメー鳴くょゎょゎなウルヴァリンとか、誰が観たいのか⁉︎
周囲からはボケ倒しているように見えても、母にとっては普通のこと、ほんの日常だ。
想像を絶する方向音痴のため、最初に踏み出す一歩が行くべき方向と必ず真逆なので10秒で迷子になったり。
「今度のゴールデンウィークは何しよう」と、GW真っ盛りの5月に言い放ったり。
初めて行くレストランで「いつもの」とぬかしたり。
幼少時には田舎者の俺が知らないのをいいことに、ハンバーグと称して豆腐ベースの正体不明料理を食わされたり(ハンバーグは母もよく知らなかったのだがこれは謎に美味かった)、若い頃から常時そんな調子だったのだ。
天然エピソードは芸能人や他人だから笑えるのであって、身内にいるとなかなか…なのである。まあ母の場合も、笑いに変換できるうちはまだよかったのかもしれないが。
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