愛しのヴェロニカ

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 エルヴィス・コステロといえば、言わずと知れた1980年代の重要なロック・イコンの1人。その彼の代表曲に「Veronica」という1曲がある。  ポール・マッカートニーとのコラボが話題を呼んだこの曲は、2人の個性が渾然一体となった超絶ポップでキャッチーなナンバー。だがそれ故に、特に日本においては誤解されている部分があると思われる。  英語ネイティヴではない我々は、ついついラジオ・オリエンテッドで軽快なメロディと、中期ビートルズ風の心地よいサウンド・メイクに耳を奪われる。が、実はこの曲の歌詞はコステロ自身の祖母をモデルにしているのだ。  アルツハイマー型認知症に罹った祖母が壊れ、衰えてゆく。その姿に心を痛めたコステロがテーマにしたという、曲調とは真逆の切ないバックストーリーを持つ名曲中の名曲なのである。
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