拝啓 金曜日様

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拝啓 金曜日様

突然の手紙にも関わらず、丁寧な返信をありがとうございます。 何故自分にだけこの様な手紙を送って来たのか、その理由を聞かせてほしいと書かれていましたが私が考えるに金曜日様と言うのは、1週間の中でも国民のほとんどが待ち遠しく感じている曜日だと思われるのです。 特に学生達の間でも、ゆとり教育により完全週休二日制となった昨今Twitterなどでは木曜日様の夜になると「あと1日行けば、お休み」などと言うつぶやきが更新されております。 つまり、RPGで言うラスボス。 それも絶対に倒す事が出来る保証がされているのです。 それだけでは意味が分からないと思いますので、何故あなた様金曜日が重宝されているか私の観点ではございますが付け加えさせていただきますと やはりそれは「日常と非日常」の混在ではないでしょうか。 昼間は学校に通い、夜からは自由が約束されたもの。 昼に日常を迎え、夜には非日常が約束される。 このミックスがあるからこそ、人はよりエクスタシーを感じる事が出来るのだと思います。 そして、そのエクスタシーと言うのは週に1回はやってきます。 何と素晴らしいでしょう、高揚感に包まれながら下校するというのは。 ですが、私月曜日からしたらきっと国民の皆様はRPGで言う最弱の装備の段階であり、この先の長い冒険を予見させるものだと感じているのだと思います。 それもそうです。 私月曜日を乗り切ったところで、憧れの金曜日様にまではまだ3日もかかるのですから。 ああ、何と言う悲劇でございましょう。 私は一体何のためにこの役割を押し付けられているのかが、分からないのです。 どうかこんな私にかける言葉がありましたら、どうかあなた様からお願いいたします。 月曜日
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