124人が本棚に入れています
本棚に追加
/187ページ
「翔太くんち!」
「え、観光せんでええの?」
「興味ない!」
「そっかそっか」吹き出すように笑った翔太くんが「じゃあ行きますか」と指差す方へついていった。
二ヶ月ぶり二度目の翔太くんは、ラフな格好だからかまた違った魅力で凝視してしまう。
「見過ぎ」何度か頭をぐしゃぐしゃ撫でられたが、再会できたことに幸せすぎて頭はIQ5だ。
ついた先は駐車場で、黒塗りの車がキーに反応して点滅した。
「車…運転できるの?」
「ん?そらもちろん」
助手席のドアを開けてくれた革のシートに腰を下ろすと、運転席に回った翔太くんがわざわざ手を伸ばしてシートベルトを付けてくれた。それくらいできるのに。
車内は翔太くんの香水と煙草の匂いがした。選曲はFM派かぁ。
「運転する翔太くん、かっこいいね」
「ははっ助手席に乗る雪可愛いね」
「何それ意味わかんない」
「なんでなんそのまんまやん!」
無駄口叩きながら車は穏やかにどこかへ向かっていた。
最初のコメントを投稿しよう!