思い出の木

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「そもそもこの手紙は凱宛だよな・・凱と咲だけの思い出ってことはないか?」 忍が手紙の内容をもう一度読んで考えてみろと言ってきた。 それはそうだと考えるが四人で一緒の事が圧倒的に多い。 「ほら、咲が失恋して泣いてお前がバイクでどこか連れて行かなかったか?」 そんなこと・・あった! 「でも、木は無いぞ。海だよ行ったの。」 「海?あれ冬だったよな・・なのに海かよ。」 登!食いつくのそこかよ、海だよ彼氏と行ったという海で泣いていたんだよ。 「あの男は最低だったよな。」俺達はろそって言った。 俺達は咲が失恋するたび泣いたり落ち込んだりするのを聞いたり慰めたり呆れたりしてきた。 「いやあの男だけじゃなくさ、咲の明るい表面しか見ないで言い寄ってくる男を断りきれなくて付き合うパターンが多かったな。」 俺達の会話を黙って聞いていた桜が興味深々で聞いていた。 「付き合うと一途になって相手を許し過ぎて裏切られるパターンだったな。」 登が思い出しながら語る。 「お母さんって私が産まれる前は恋に生きる女だったの?」 忍と登は大人発言する桜に戸惑ったみたいだが十五歳は大人だと俺は多少思うから説明した。 「いやそうじゃないかもな、本気で好きでもないのに、相手が本気だと言うとそれを信じてしまうんだよ。」 まだ十代には難しいかと俺は思っていたが桜はそうでもないらしく。 「恋に恋した女みたいな?」 「そうかもな・・で!男が裏切ると毎回泣くんだよ。」 そんな話をしながら俺はあることを思い出していた、今ここで話そうかどうかを迷ったが俺は言わないことにした。
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