思い出の木

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 「俺少し出てくるわ。2時間くらいで帰るから。」 そう言って俺はある場所へ向かった。 あの出来事をもしかしらた咲が気が付いていていたら・・ 俺は俺達が通っていた高校へ向かった。 20年以上も前なのに建物というのは時間が止まったようにそのままで俺達が通っていた頃の制服と同じ生徒がいる。 おれは借りた車を学校の駐車場に止めて許可証を事務室に取りに行った。 事務員に許可証を申請して少し校舎の周りを歩いたり、教室を覗いたりしてみると、その時の何気ない生活がセピア色ではなくカラーで蘇る。 学食の一番後ろの席は俺達が好んで座った席だったし、渡り廊下はよくクラスが違った俺達が待ち合わせした場所だった。 制服姿の女の子とすれ違うと当時の咲が走って待って~と笑いながら走ってきたのを思い出す。 スリッパのような上履きは雨の日は滑るのにあいつは馬鹿みたいに走ってきた。 そんな事を思い出しながら目的の場所に来た。 この場所は部活の俺達を待ってる時に咲が座ったり立ったりしていた場所。 グラウンド横の大きなイチョウの木の下。 俺はここじゃないかと思った。 「咲、お前ここだとか言わないよな~お前寝てたよな。」 ここは、三年の秋の始まりの頃に咲が受験勉強で疲れていたのか眠っていたんだ・・。 俺はその時一人だった、寝ている顔は何度も見てるのに可愛く見えて軽くキスをしたんだ。 あいつは寝ていたから覚えてないはずなんだけどな・・。 そう思って木下を見てみる。 「なんもないよな~。」 そう思いながら木の裏側に回った時に見つけたんだ・・木の太い根が変な空洞を作っている場所があった。 その木の根っこの間の土の部分だけが草が生えていない。 その辺に落ちてる木の枝を使って掘り起こしてみたらあったんだ。 サブレの空き缶が埋まっていたんだ・・。 「なんでサブレなんだよ。なんだよ。」 その空き缶の上にマジックで書かれている文字は咲の字だったがすぐに歪んで見えなくなった、俺は泣いていたんだ。 「なんなんだよ・・ここかよ。」 そう思いながら空き缶をその場で開けようと思ったが怖かったんだ。 何が入っているか想像もつかない。 俺はその箱を抱えて車に戻ろうとしたらそこに忍が一人で立っていたんだ。
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