箱の秘密

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箱の秘密

「忍・・何故ここに?」 「ああ、登と桜にここまで送ってきてもらった。」 忍は怒ってるわけでもなく、俺が持っている箱に目を落として一言いったんだ。 「やっぱりあの場所だったんだな。」 「ああ。」 俺は直観的に忍はあの場所のことを知ってるって。 何故あの場所なのかも・・咲から聞いたなら咲は寝ていなかったわけで、目撃されていたなら。 「お前見たのかあの時。」 忍は案外あっさりと言ったんだ。 「ああ、見たよ偶然。あの後咲が寝ていなかったことも知ってたよ。」 咲があの後すぐに起きて、赤い顔をして嬉しそうに唇に手をあてていたのを見たんだと忍は話してくれた。 俺達はいつも四人でいて俺と咲と二人なんてそう何回もない。 だからそう何回もない一回のこの場所まさかとは思ったんだ 「起きてたのかよ・・今さらだが恥ずかしいもんだな。」 20年以上前の話なのに俺は異常に恥ずかしかったまるで数時間前に咲にキスしてそれを忍に目撃されたような変な感覚だった。 「まあ可愛い思い出じゃないか?」 忍は笑っているが何故か遠くを見ている様な感じがする。 戻って家で開けるか一度別の場所で開けるかという話になって桜の父親に関係するものが入っていたら色々困ると二人で考えた答えが いつもの場所だった。 時間がまだ早いから店は開いていないだから事情を電話でマスターに説明したら快く店を開けて俺達を待っていてくれる事になった。 まだ客が誰もいない店のカウンター席に座って箱を三人で見つめた。 「開けるか。」俺が言うと忍も短く 「ああ。」と返事をした。 意外と埋まっていた箱の蓋は固く、上の蓋を強く掴んで下の箱を俺は自分の太ももに挟んで思いっきり上蓋のヘリに爪を引っかけて 力を入れて開けた。 「開いた。」 そっと蓋を開けて一番上にあったのは、パスポートだった。 その下には開封されていない手紙と小さなビニール袋に入れられたUSBメモリーそして箱の一番底に航空券があった。
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