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マスターは俺達の話を聞いてタバコに火をつけた。
「それで今後どうするんだ?登には話すのか?」
登は咲は幼馴染の親友として大事な存在だったが恋愛感情はなかっただろうとマスターは証言した。
「登は桜を本当に自分の子供のように育ててきただろう?俺は咲が好きで好きな女の子供で自分の子供のように・・だけど登は少し違うんだ。」
俺がいない15年間で登に何があったか・・
「登自身は隠していない事だから話すけど・・」
そこで聞いた話は男としては辛い話だった。
登は大学時代から同じ女と付き合っていた記憶がある。稲盛 みゆき漢字は解らないが。
「桜が産まれる2年前くらいかな海外で高熱がでる病気にかかったんだけどさ、場所からしてマラリアだと思うんだ。覚えてないか?」
そういえば一人で旅行に行って現地で寝込んだとか言っていた記憶があったその時か?
「ああ、たしかあいつ現地から国際電話かけてきて俺金を送金したよ。」
その国はアジアだが金がものを言う国だったから、現金がいるとかで病院代なんかで送金した。
その時は熱が下がって少しして帰国してからまた入院していたような。
「あいつさ桜をみていて子供が欲しくなったんだろうな~付き合っていた女と結婚する気だったんだよ。」
まあ普通はそうだろうと俺も思うと考えた時に店のドアがガラッと開いて・・
「違うよ。桜は忍のお母さんとこにいる。」
そう言って入ってきたのは登だった。
「付き合っていた美由紀が結婚して子供が欲しいって言ってきたんだ。」
登は続けた
流石にかなり長く付き合っていたから年齢的にもそう言われたら断り切れずに登も結婚もいいかなと思ったらしい。
「美由紀は一人娘でさ、お互いにブライダルチェックってのを受けたんだ。そこで解ったんだよ「無精子症」ってやつ?美由紀には問題がなくて俺にはあったわけ。治療も考えたけどほぼ無理なんだわ。」
登は昔の話だから気にするなよと言いながらだから桜だけは特別で自分の子供のように育てることを咲に許してもらったらしい。
「咲はさ・・平気な振りはいいからって言ってさ美由紀と何だかんだあったけど俺達はお互い別れることは無いと思っていたけどさ相手の親は違ったわけだよ。少しして美由紀は見合いすることになってさ。」
彼女は泣いて別れたくないと言ったが登は突き放したらしい。
それは彼女の親の頼みでそれが彼女の幸せだと思ったからだろう。
「俺さ・・美由紀を突き放した時に結婚はしないって決めたんだ。」
何でもないように・・普通に話す登。
確かに過去だけど辛くない訳じゃないだろう・・それだけ言って
登は俺を見て言ったんだ。
「凱俺にも聞かせろよ。」
俺達は幼馴染でやはり隠し通すことは出来ないよな。
男同士ってなおさらだよな・・。
「ああ、聞いてくれ。」
俺は覚悟して話をした。
登は黙って聞いていた。
「お前もさ凱・・咲もさ・・馬鹿じゃないの?」
聞き終えた登はボロボロ涙を流して男泣きしている。
「怒る気にもならねー。」
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