1#クマの探しもの

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 のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし。  「ない!ない!ない!ない!ない!ない!」  ヒグマの子のダイナは、森の中をキョロキョロと見渡して挙動不審に辺りを探っていた。  「ないよーーー!!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!」  ヒグマの子は2脚で立ち上がり、鼻を突き上げてクンカクンカと辺りの匂いを嗅ぎわけた。  「駄目だ!!探してる、あの匂いがしない!!」  ヒグマの子のダイナは爪で草むらを掻き分け、  木によじ登り、  洞穴を覗き、  森じゅうをかけずり回って『探しもの』を探りまわった。  のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし・・・  「ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!  いったい何処にあるんだぁーー!!」  ヒグマの子のダイナは探しているうちに、  段々頭がモヤモヤしてきて取り乱し、  テンパって、涙が溢れて半べそをかいた。  「ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!  何で無いんだーーー!!  何処にも無いよーーーー!!  何でだよーーーーー!!」  「うっせぇうっせぇうっせぇわ!!」  突然、子グマのダイナの目の前に1匹のキタキツネが怒り心頭に飛び出してきた。  「あーーークマさん!!ないないないないないないって今さっきからうっせーわ!!何が無いんだよぉーーーー!!」  キタキツネのセリカは、かーーーーっ!!と今にも噛みつかんばかりに牙を剥き出して、しかめっ面をして威嚇した。  「そ・・・それは・・・し、失礼しましたーー!!」  不穏な雰囲気を感じた子グマのダイナは赤面して、慌ててのっし、のっし、のっし、のっし、のっしとその場を立ち去った。  「あーあ、ヒグマさん行っちゃった。  探しもの探してるなら、一緒に探してやるのに。全く情けないったらありゃしないわ。」  キタキツネのセリカは、呆れた顔をして髭をヒクヒクさせた。
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