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のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし。
「ない!ない!ない!ない!ない!ない!」
ヒグマの子のダイナは、森の中をキョロキョロと見渡して挙動不審に辺りを探っていた。
「ないよーーー!!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!」
ヒグマの子は2脚で立ち上がり、鼻を突き上げてクンカクンカと辺りの匂いを嗅ぎわけた。
「駄目だ!!探してる、あの匂いがしない!!」
ヒグマの子のダイナは爪で草むらを掻き分け、
木によじ登り、
洞穴を覗き、
森じゅうをかけずり回って『探しもの』を探りまわった。
のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし・・・
「ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!
いったい何処にあるんだぁーー!!」
ヒグマの子のダイナは探しているうちに、
段々頭がモヤモヤしてきて取り乱し、
テンパって、涙が溢れて半べそをかいた。
「ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!ない!
何で無いんだーーー!!
何処にも無いよーーーー!!
何でだよーーーーー!!」
「うっせぇうっせぇうっせぇわ!!」
突然、子グマのダイナの目の前に1匹のキタキツネが怒り心頭に飛び出してきた。
「あーーークマさん!!ないないないないないないって今さっきからうっせーわ!!何が無いんだよぉーーーー!!」
キタキツネのセリカは、かーーーーっ!!と今にも噛みつかんばかりに牙を剥き出して、しかめっ面をして威嚇した。
「そ・・・それは・・・し、失礼しましたーー!!」
不穏な雰囲気を感じた子グマのダイナは赤面して、慌ててのっし、のっし、のっし、のっし、のっしとその場を立ち去った。
「あーあ、ヒグマさん行っちゃった。
探しもの探してるなら、一緒に探してやるのに。全く情けないったらありゃしないわ。」
キタキツネのセリカは、呆れた顔をして髭をヒクヒクさせた。
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