探し者は僕の方

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僕は彼と幼馴染みだ。 ずっと仲良しで、僕は彼と一緒にいられると思っていた。 いつからか、僕は彼に幼馴染みや親友以上の気持ちを抱いていた。 肉体的なことは考えず、ただ想うだけ。 片想いでいい、伝えたら今の関係が壊れてしまう。 秘めた想いはどんどん膨らんでいく。 抑えても押さえても膨張は止まらない。 破裂を待つだけの風船みたいだ。 ……風船は弾けた。 苦しかったが彼に想いを伝えると、あっさりと受け入れてくれた。 夢かと思うほど、僕は心がふわふわしていた。 買い物で手を繋ぐ、季節のイベントは二人で楽しむ、お互いの誕生日や記念日はケーキを食べる…ささやかでキスもしないけど、プラトニックな関係でも心地よかった。 こんな日が続くと信じて疑わなかった。 疑うワケがない。 幸せを疑うなんて、時間がもったいないじゃないか。 『結婚したい人ができた。彼女をずっと守ってあげたい』 そんな陳腐な台詞を僕に投げ付けて、彼は行ってしまった。 僕の方は一度も振り返らなかった。 僕の恋は呆気なく終わったのだ。 僕は彼を諦められない。 彼に逢いたい…一目見るだけでもいい。 そう思った時には歩き出していた。 居場所は分かるよ、彼は僕に結婚式の招待状を律儀に送ってきたから。
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