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本音を言えば、秋月は今でもこれは自分の仕業ではないと思ってはいる。
けれど本橋が「俺じゃない」と言うのなら、それを偽りだと決めつけるつもりもまたなかった。
外見からは想像もつかないくらい子どもっぽいところのあるこの恋人は、都合の悪いことをすっかり忘れて自分を正当化するようなことはあるかもしれない。
けれど、はっきり己の責任だという認識を持ったまま、正面切って嘘を吐く男ではないのだ。
秋月と本橋がどちらも「自分じゃない」と主張するなら、それを秋月が一方的に「俺じゃないんだからお前がやったんだろう」とは言いたくなかった。
意識しないままの行動だというのなら、もしかしたら自分かもしれないのだ。
そして、その可能性はゼロではないと冷静に考えている。
言うまでもなく秋月は、決して完璧な超人ではないのだから。
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