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「ホントに家の中にあるの?」
本橋が疑わしそうに秋月に問い掛ける。
「当たり前だろ!? むしろ家の中になかったらどこにあるって言うんだよ」
いくらなんでも、リモコンを外に持って出るはずがないではないか。
そうは思いながらも、少し心配になって一応バッグの中も探してみたがやはりなかった。それはそうだろう。ゴミ箱の中まで覗き込み、ソファの隙間も探ってみたがやはりない。
(あとどこか探してないところ。どこだろう。こうなったら、クローゼットとかも全部探すしかないのか? まるで大掃除じゃないか……)
ぎゃあぎゃあ騒ぎながら動き回って喉が渇いたのか、本橋が「水飲むから!」と宣言してキッチンへ向かった。
「あー、俺も何か……」
独り言のように呟いて彼の後を追いながら、秋月は冷蔵庫のドアを開けて中を見ている彼に気づいてつい軽口を叩いてしまった。
「まさか冷蔵庫の中にあったりして!?」
「……馬鹿じゃないの」
本橋が秋月にちらりと目をやり、冷ややかに口にする。
ただでさえ斜めになっていたご機嫌をさらに損ねてしまったのか、彼は乱暴に炭酸飲料のペットボトルを取り出した。いつもスローペースな本橋には珍しい行動だ。
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