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竹やぶの向こうは崖と言ってもいいほどの斜面だ。歩いておりられるような場所ではない。
翔太は、自分の目を疑った。
そいつは、そこで立ち止まると、ジャンプしたのだ。
高さ20メートルは、ゆうにありそうな竹やぶに向かって。
とんだのではない。
「空に舞いあがった」と言うべきだろう。
ゴム風船が風に舞いあげられ、その重みでふんわりと落ちていったように見えた。
夢でも見ているようだった。
ペケのひとほえで、われにかえった。
人影を追って、勢いよくとびだしたペケをあわてて追いかける。
逆光だったので、断言できるほどの自信はなかったが、黒っぽいコートを着た、背の高い男に見えた。
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