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20メートルほど進んだその時、背後の宝蔵付近で何かが動くような気配を感じた。
木の枝にふれるような音も聞こえる。
さっきの空を飛んだように見えたモノか、あるいは出ることがあるというイノシシか?
気味悪さに鳥肌が立った。
少しでも早く離れようと足を速める。
そのとたん、ペケがほえた。
驚いた翔太の手から、赤い実が転がり落ちた。
ふり返るが、後方から追いかけてくるモノはなかった。
「……なんだ、おどかすなよ」
ペケに目をやると、地面に落ちた赤い実にかぶりついている。
「ちぇっ、いじきたないやつだな」
自分のことは棚にあげ、ペケに文句をつける。
翔太の不満など気にするようすもなく、ペケはあっという間にかみくだき、飲みこんだ。
それどころか悪びれるでもなく、翔太を見あげしっぽをふる。
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