第30話 大どろぼうの正体

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細野刑事が、にやりと笑う。 「……どうやら、君には、ずいぶんいろいろとしゃべっているようだな――ちょっかいを出していた暴力団の構成員がつかまったことで、妻の実家の態度も軟化してね」 思わず、自分の着ている服や炭でよごれたスニーカーに目をやる。 それに気づいた細野刑事は、笑いをこらえるように続ける。 「お茶会は、うちでやる。安マンションの方だ」 「あっ……はい!」 石段をおりる細野刑事は、明らかに左足をかばっていた。 人に言えないケガだ。 「あの夜、なぜ、ここにいたんですか?」 翔太の質問に足を止め、ふり返ることなく携帯用のケースにタバコを放りこむ。 「ピアノのレッスンでおそくなる日だったからね」 離婚はしても、見守っていたらしい。 いや、きっと、会う約束をしていたのだ。 「待っていたら、目の前に木津根の家があった?」 思わず、口をついて出た。
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