第1話 あやしい人影

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第1話 あやしい人影

あちこちで、くずされている山。 うめ立てられた、田んぼや畑。 建築中の家々。 七川市のベッドタウン城山町が、急激な人口増加にあわてていることは、だれの目にもあきらかだった。 すでに、陽は落ち、建設中の道路の、ところどころに灯された街灯の下を、ふたつの影がかけぬける。 先を行くのが、北原翔太(きたはらしょうた)。 城山小学校の5年生だ。 体は小さいが、運動神経はバツグンで、一週間ほど前の体力測定では、すべての項目で学年3番以内に入って、みんなをおどろかせた。 トレードマークの白い帽子。 丸い顔に、大きな目。 いかにもわんぱくそうな、げじげじまゆ毛。      ☆
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