第1話 あやしい人影

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翔太は、帽子のつばを後ろにまわすと、追いかけてくる白い子犬に声をかける。 「ペケ! 学校まで競争だ」 名前を呼ばれた子犬は、わかっているとでも言うように、ワンとひとほえすると、はねるようにかけだした。 「翔太!」 ペケを追いかけようとする翔太を、だれかが呼びとめる。 ふり返ると、街灯の下に背の高い男の人が立っていた。 「あっ、先生」 担任の藤原先生だった。 年はまだ、25、6のはずだが、ほおのこけた長い顔と、たれさがった目のためか、ずっとふけて見える。 「どうした。こんな時間に」 「先生こそ、こんなにおそくまで……。あっ! まさか、また、校長先生とケンカしたんじゃないですよね?」
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