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翔太は、帽子のつばを後ろにまわすと、追いかけてくる白い子犬に声をかける。
「ペケ! 学校まで競争だ」
名前を呼ばれた子犬は、わかっているとでも言うように、ワンとひとほえすると、はねるようにかけだした。
「翔太!」
ペケを追いかけようとする翔太を、だれかが呼びとめる。
ふり返ると、街灯の下に背の高い男の人が立っていた。
「あっ、先生」
担任の藤原先生だった。
年はまだ、25、6のはずだが、ほおのこけた長い顔と、たれさがった目のためか、ずっとふけて見える。
「どうした。こんな時間に」
「先生こそ、こんなにおそくまで……。あっ! まさか、また、校長先生とケンカしたんじゃないですよね?」
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