第1話 あやしい人影

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5年2組で、この話を知らないものはいない。 かくいう翔太が、校長室での一部始終をクラス中にふれまわったのだ。 先生は首の後ろに手をやり苦笑する。 「やっぱりお前か、ウワサを広めたのは」 「心配しているんですよ。先生には出世してもらいたいから」 「翔太。お前、反省していないだろ?」 先生がそう言いたくなるのも無理はない。 校長先生とのケンカの原因を作ったのは翔太だったのだ。 翔太のクラスは4年生からの持ちあがりだ。 去年、新しい小学校ができて、たくさんの友達がそこに転校。 1年で変えてしまうより、続けた方がよいという判断らしい。 つまり、仲がよかった。 翔太の呼びかけで、クラスの男子3人が、水分峡で泊まりこみのキャンプをしたのは、新学期が始まってすぐだった。
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