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だれかのお父さんが、一人でもついてくれば問題はなかった。
だけど、そんなキャンプで、ワクワクできるはずがない。
だから、翔太たちはウソをついた。
友達のお父さんが来てくれる、と。
――そんなウソは、ばれるものと決まっている。
しかも、悪いことに校長先生の耳に入ってしまった。
校長先生は藤原先生を呼び出し、担任の指導がなっていないからだと責めたてた。
そこまでいわれてだまっている先生ではない。
言葉を選びながらも、いつから、教師は、生徒の学校外の行動まで責任を持たなくてはならなくなったのか、と反論したのだ。
さらに、男の子は、それぐらい元気な方がいい、と口をすべらせたのだ。
もちろん、先生が翔太たちをしからなかったわけではない。
事故が起きたらどうするつもりだったんだと、いやというほど説教されたのだ。
「先生。さっきの質問の答えなんだけど……」
「翔太……おまえ、話をそらそうとしているだろ?」
先生のツッコミには、かまわず続ける。
「散歩です。夜だったら犬を怖がる子どももいないし、リードをはずしてもめだたないから」
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