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先生は、片手をあげてバス停に向かった。
どうやら、今日は、お気に入りの車には乗ってこなかったらしい。
いつこわれても不思議ではないクラシックカーのような車だ。
そのわけを聞いてみようとしたが、ペケがくつしたをくわえ、先を急がせるので、しかたなくかけだした。
赤松とくすの木の大木におおわれた、長い石段をのぼると、神社の拝殿が見える。
右には、6角形の格子を使った、校倉造りの宝蔵がある。
るり色の空にうかぶ青白いくっきりとした満月。
その下には墨を流したような色の竹やぶ。
――と、逆光をあび、輪郭だけがくっきりうかび出た人影が宝蔵の後方から現れた。
その人物はゆっくりと竹やぶに向かって行く。
いったいどうするつもりだろう。
あの先の自然歩道は、ヘビやイノシシが出てくるという理由で通行止めになっている。
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