私と母は二人きり

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私と母は二人きり

中学1年生の春、父が死んだ。 簡単な手術のはずが急な発作でぽっくりと逝った。 ガミガミ怒る母と打って変わって、仏のように優しい父だった。 父が亡くなったことを知ったのは、亡くなってから二日後の話で、父の妹である叔母からの電話がきっかけだった。 「陽菜、落ち着いて聞いてな。  ……あんたのお父ちゃん、亡くなったわ。」 「え?」 よく覚えてないけど、実感の湧かない私は母に電話を代わったあと、母が叔母と電話する様子をぼーっと見ていた。
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