振り返ればそこに

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☆  五月くんの吹楽部の活動が終わってから、私たちは一緒に下校するようになった。  帰宅部の私は、教室で友だちとお喋りしながら放課後の時間を潰していた。 「夏芽、五月くんとつき合うようになったって? いいなー」  と、友だちの沙綾がアーモンドチョコを口に放りながら言う。 「すごいねー。五月くんの方から言ってきたんでしょ?」  と、目をきらきらさせるのは同じく友の幸。 「うん……えへへ」  私はどうしても舞い上がってしまう。  初めての彼氏。それも人気のある男子。  浮足立たずにはいられない。 「あ、彼からラインだ。部活終わったって」 「ラブラブだねー」 「早く行ってあげなー」  私は友人たちに見送られながら、駆け足で彼の許へと向かった。
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