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☆
「小岩夏芽、先輩?」
私が給食終わりに五月くんと屋上でお喋りデートしてきて、ウキウキで自分の教室へ戻ろうとしていたところだった。
知らない女の子たちに声をかけられた。
メガネの子、そばかすのある子、前髪が異常に長い子……。
その子たちに見覚えはない。
「五月先輩とつきあってるんですよね?」
「ああ、はい……」
メガネの子がぎょろりと私を睨む。
「五月先輩は、吹奏楽部でもアイドルなんです。どうして夏芽先輩みたいなひととつき合っているのか解りません」
「私なんて、五月先輩と出会ったその日からずっと好きだったんです」
「私は告白してフラれました」
その空気に気圧されようになりながらも、私は踏みとどまった。
「でも、私も、五月くんのことが好きなの」
ざわっと彼女たちは揺らぐ。
「私の気持ちは、揺らがない」
堂々と言ってやった。
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