振り返ればそこに

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☆  ――もうすぐでバースディだね。夏芽ちゃん、何が欲しい?――  五月くんが嬉しいことを言ってくれた。 「何か、甘いものでも食べに行きたいな」  吹奏楽の練習で忙しい彼とは、まだどこか遊びに行ったことはなかった。  事実上の初デートまでこぎつけた。  幸せな日々。  私は他の子たちの嫉妬心には負けない。  私の誕生日は日曜日だ。  その前日、私はお気に入りのオレンジ色のワンピを用意し、ハンガーにかけておいた。  ウキウキドキドキで、中々眠りにつくことはできなかった。  私は世界一の幸せ者だと思って、相違なかった。
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