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二限目
母親入学共通テストとは「なろう、良い親」をスローガンとし、少子化対策の一環で2052年に始まった取り組みである。
「外見」「教養」「料理」「掃除」「社交」「対外活動」の六教科からなり、合格して良い母親認定を受ければ政府から少子化対策に貢献したとして助成金が支給されるのだ。
誠一は三年前、見事国立父性大学に合格。助成金で家計は多少潤い、勢いそのまま大手企業・親父製薬に入社するなど順風満帆なスタートを切っていた。
息子の瑛太もそんな「見事な父」の姿を追うように難関中学に無事合格。来年の難関高校合格へ向けて、今度は「見事な母」の姿が必要なのだ。
由紀子の成績は、ずば抜けて悪いわけではない。ただバランスが悪い。「外見」「教養」科目はBレベル、「料理」「掃除」はCレベルにあるが、「社交」「対外活動」がEレベルであった。
一人でどうにか磨ける外見・教養とは違い、社交・対外活動はどうしても他者との触れ合いが生じる。由紀子はそれが果てしなく苦手であった。
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