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大人たち
政府の要請で、至るところに仕掛けられた監視カメラが、現在の大人たちの姿を写し出している。
いくつもの画像がひとくくりにされ、至る場所の映像が随時見れるようになっている。
その頃、ニュースでは子供を持つ大人たちが子供たちの行方を探して、警察に駆け寄る姿が写し出されていた。。
警察署の自動開閉するような透明なドアが、今にも壊れてしまいそうな勢いだ。
テレビ画面の中だからか、見えない力によって、大人たちがそれに押し込まれていく様にも見える。
「ーーあ、おかあさん。。」
そう口走ったのは、俊哉くんだ。
「ほら、見てこの人ーー僕(としや)のお母さんなんだ」
「若いお母さんなんだね。。僕のお母さんもこの中にいるのかな?」
司は少し寂しくなってきた。。
自然と涙が溢れる。。
子供たちが皆、寂しそうな顔をしている。その中でUIたちは、ここに集まった子供たちの心のケアをする為、それぞれの名前を付けた子供たちに駆け寄り、慰めている。
僕(司)のところに来たのは、やはりタケルだ。
ーー司くん、、大丈夫です。
ーーこれは一週間だけの実験ですから。。
この時、始めて僕は一週間で実験が終わる事を知った。
一週間で色んな実験をします。
子供たちを守るため、と言う大人たちが、緊急事態にどれ程備えられているのか。。
それを知る為に。。
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