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今日、珍しく職場のすぐそばで待ち合わせた片山は、遠目からパッと見た時に何か違和感があって、近寄ってみてその理由に気づいた。 片山はスマホを見ながらぼんやりしているので、声をかけないままで近づいていく。 足音に反応したのかふと振り向いた彼女の頭に、ぽんと手を乗せる。 「ごめん遅くなって」 「全然、待ってないよ」 するすると、手触りのいい髪に指を通す。 「髪切ったね」 「すごい、よく分かったね。職場で誰にも指摘されなかったのに」 片山が少し目を見開くようにして、驚いている。 5cm……10cmくらいは短くなっているのかな。ちゃんと見ていれば、それくらい短くなれば普通は分かるのに、気付かない男が多いと聞くから不思議だ。 「染めたりパーマかけたりとかはしないの?」 「うーん、してもいいんだけど」 言い渋った反応でなんとなく分かって、内心笑った。たぶん、面倒だったんだな。 「まぁ色は元々薄いしね。パーマも似合うとは思うけど、このままもいいと思う」 「そう?」 「片山の髪、綺麗だしね」 つるつると指をすり抜ける、片山のしなやかな髪を、高校の頃からずっと、綺麗だと思っている。 手を取って、指を絡めて繋ぐ。いわゆる恋人繋ぎとかいうやつ。初めの頃は少しためらうようだったのが、最近はもうそんな素振りもないのがいい。
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