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「今日さー、家のそばの串揚げ屋でいい?焼き鳥でもいいんだけど」 「いいよ、どっちでも」 「暑いからビール飲みたいし」 「うん。そだね」 暑いからビール、の部分に反応したらしい彼女のテンションが軽く上がる。そういうところは、割と分かりやすくていい。 片山は基本受け身だから提案するのは結構大変だけど、ほぼ文句も言わないので、その点は気楽だ。 結局、駅前の小さな店で、串焼きとビールで夕飯にしてしまった。 「片山って、基本なんでも食べられるよね。好き嫌いないの?」 「うーん……あんまり辛いのは苦手」 「ああ、そうか。甘いの好きだもんな」 「あと、四川料理とかもちょっと苦手」 片山と再会してから彼女をいろんな店に連れて行ったけど、どの店でも概ね機嫌よく飲んで食べている。 女子が好きそうな小洒落た店でも。小さな店でも。ちょっとがちゃがちゃしたような店でも。 付き合ってからも、たいてい片山は割り勘にしたがって、それもいちいち面倒なので、適当に出し合うようにしている。 あんまり、彼氏に依存したくないとか。そういう心理なのかな。 単に、甘えるのが下手なだけのような気もするけれど。 金かかんないのは美徳って西山は言ったけど、こだわりが少ないのもそうだよな。 片山はよく分からないところがまだ多いけれど、一緒に行動するのは、不思議とストレスがない。 串揚げを適当に摘んで軽く飲んで、店を出る。駅から俺の部屋の間にあるコンビニにいつものように寄って、明日のパンなどを調達する。
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