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俺がカゴを持って店内をうろついている間に、片山はいつのまにかコンビニのスイーツの棚の前で固まっていたので、声をかけた。 「なんか買ってく?コーヒー淹れるし」 「うーん……城崎くんは?」 「え?」 「食べる?」 「あー……一緒に食べようか」 それはいつもと同じようなやりとりだったのに、なぜか、ちょっと剣呑な視線を向けてくる。 「あのー、あのさ?」 「ん?何?」 「あのさー、もしかして、ていうか城崎くんさ、ほんとは甘いもの好きじゃないでしょ?」 あ、ついにバレたなと思って、ニヤッと笑った。 甘いものは実は苦手だ。甘い飲み物も。ただ片山は好きそうだったので、なんとなく言わないでいた。 やや膨れたまま、とりあえずデザートは買わない、と言うので明日の朝食に使えるものだけカゴに入れていく。 そんな凝ったものは作れないけれど、朝食っぽいものが用意される、というだけで彼女は簡単に感動してくれるからいい。 コンビニを出て、まだちょっと納得してない様子の彼女を連れて部屋に戻る。 デザートは買わなかったので、コーヒーだけ淹れよう。 「買わなくてよかったのか?なんか、新商品、て書いてあったけど」 部屋について、暑かったのですぐに交代でシャワーは浴びてしまって、部屋着に着替えてまったりしている。 いつものようにコーヒーを落として、俺はブラック、片山には牛乳多めのカフェオレ。 「城崎くん、好きじゃないからいい」 彼女はさっきから、少しだけご機嫌斜めだ。
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