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今までの彼女は、まぁ全員ではないけれど、どちらかと言うと、わがままを聞いて欲しいタイプが多かった。どれだけ自分に合わせてくれるかで愛情を測ろうとするような。 それはそれで、間違っていると言うつもりはない。 それはそれで、非常に女の子らしいと思う。 「俺、姉がいてさ」 「お姉さん?」 「しかも、学生時代、父親は単身赴任で。だから、家の中は母親と姉と俺なわけ」 「うん」 「そう言えば、片山って兄弟いる?」 「いない、一人っ子」 「じゃあ、いまいちピンとこないかもしれないな。姉と弟の関係て、絶望的に絶対的なんだよな」 不思議そうな顔をしている片山に、苦笑を返す。 「しかも父親もいないだろ?家の中に味方なんていないからな、1番下の弟なんてもう、下僕(げぼく)だよね」 「下僕……?」 「買い物の荷物持ちなんて日常だし、どっか行きたいから車出せとか、付き添えとか、飲みすぎたから迎えに来いとかなー」 片山が目を大きくして驚いている。 「あ、でも別に、仲悪いとかじゃないけど。うちの姉が特別ひどいってわけでもなくて、多分、姉弟ってこんなもん」 「そうなんだ」 「一人っ子だと全然分かんないだろ」 「分かんない」 実情はもっと生々しくて、ストッキング買ってこいくらいなら生易しくて、帰りに生理用ナプキンと頭痛薬買ってこいだとか、十代のうちは羞恥で死ぬかと思った。 ただ悲しいかな……人間は慣れてしまうんだなぁ……二十歳を超えたあたりでなんかもう、すっかり慣れて動揺もしなくなってしまった。
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