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姉もようやく結婚してくれたので、最近は随分おとなしくなった。あとは旦那にお任せしたい。お役御免ってやつ。 で、結局残ったのは、俺の慣れだけという。 「で、つまり何か、というと、慣れてんだよね。買い物付き合うのも、女性客だらけの店にケーキ食べに行くのも、訳わからんわがままに振り回されるのも。って、片山はわがままなんて言わないけどな」 大学に入って女の子と付き合うようになって、彼女に求められていることが不思議とよく分かった。求められていることを返すだけで喜んでもらえるし、彼女の機嫌も良くなるし。 だから、彼女とうまく付き合うことは、そんなに難しいと思わなかった。 まあ、当面の間は。 長く時間が経つうちに急に振られたりするんだけれど。 俺にとっては要求に応えることの方が楽で、振り回すよりは振り回されてきた習い性のようなものがあって、それほど苦痛に感じない。 そんな俺の性質が滲み出るのか、今までの彼女もどちらかというとみんな振り回す側、つまり、姉寄りの性質。 基本的に告白されて付き合い始めてたのもあって、ずっと付き合い方も変わらなかったんだけど。 片山は全然違うからなぁ 初めて強烈に追いかけた片山は受け身、どころか隙をついて逃げ切られてしまいそうで、こちらから能動的に動かなければ(らち)があかない。だから。 行きたい店とか、食べたいものとか、片山に合わせる方がむしろ全然楽なんだけど。 そう言ってもきっと、納得してもらえないのだろうなぁ。
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